前立腺炎と鑑別の難しい性腺機能低下症
当院に受診される患者様に一定の割合で前立腺炎の方がいらっしゃいます。
開院前に予想していたより明らかに多い印象です。仕事柄、PCを使ってデスクワーク主体により座位でいる時間が長いこいとが原因と考えています。
一方で、生活習慣の改善をお願いしたり、投薬治療を行なってもなお、治療効果が認められない方がいらっしゃいます。実はそのような患者様の大半は性腺機能低下症(男性更年期)であることが多いこともわかってきました。あたかも前立腺炎のような症状をお持ちの患者さんには、男性ホルモンの血中濃度(フリーテストステロン)を測定することをお勧めしています。そして、足の付け根から腰にかけての痛み(前立腺様の症状)は男性ホルモンの投与によって劇的に改善することが多いのです。
これまでご来院頂いた患者様を診療していくうちに、私自身が学習したことでもあります。
整形外科で検査して異常なく鎮痛薬を処方されて満足されていない方、泌尿器科を受診していたけれど異常ないと診断され改善しない方は、性腺機能低下症(男性更年期)である可能性を考えなくてはなりません。概して、お話を聞いていくうちに、痛みが発生する数年前から1年前にかけて強いストレスがかかっていることが要因であることがわかってきました。仕事上のストレス、家族間のストレス(ご家族の介護等)、原因は様々です。ストレスによって精巣の血流が低下することが原因ではないかと推測していますが、あくまで私自身の推測に過ぎないことをご理解頂ければ幸いです。
患者様の話に耳を傾けること、良く聴取すること、これは基本中の基本と考えています。