生活習慣病と排尿障害の関係
生活習慣病と排尿障害の原因になる?
最近、生活習慣病と排尿障害との関連が注目されています。生活習慣病とは、生活習慣にともなう内臓脂肪の蓄積により生じる高血圧、高血糖、高脂質血症などを指します。これらの疾患では動脈硬化が進むため、膀胱を栄養する血管も細くなるため膀胱の血流を低下させてしまう「膀胱虚血」が起きます。生活習慣病による慢性膀胱虚血は頻尿の原因となる過活動膀胱を起こします。さらに糖尿病や肥満が合併していると過活動膀胱の発生率はさらに高くなります。 膀胱虚血は原因と考えられる生活習慣病の治療を優先しつつ、過活動膀胱の治療(β3アドレナリン受容体作動薬の内服)を行うことになります。
糖尿病では末梢神経障害によって尿が貯まったという膀胱の知覚が低下して、やがて膀胱が過度に広がってしまうことになります。膀胱の過伸展(膀胱の正常容量を超えて膀胱に尿を貯めてしまう現象、通常700ml以上) が起きると、膀胱の排尿収縮力が低下するため残尿が増えて、やがて尿閉(尿が出せない)や溢流性尿失禁(尿が溢れ出る状態)が生じます。糖尿病患者の約半数は、尿意切迫感や切迫性尿失禁などの過活動膀胱があり、こうした方に脳MRIを行うと、75%に多発性脳梗塞があることがわかってきました。したがって糖尿病で排尿障害がある場合には、原因は末梢神経だけでなく脳梗塞も隠れている可能性があるので、糖尿病で頻尿という方は、脳のMRIを行うことが勧められます。