膀胱炎を軽く思わないで
膀胱炎は外来診療していて、多くお目にかかる疾患です。排尿の際に感じる痛みや残尿感が主な症状です。そのほとんどは大腸菌が原因であり、男性に比べて尿道の短い女性に好発します。概して、抗菌薬を服用することで症状は良くなることが多く、その後、再診されないのが常です。しかしながら、再発してくる膀胱炎の患者さんの中には、膀胱癌が原因であることが稀ではありません。膀胱癌の症状のひとつに膀胱炎症状というものもあり、膀胱炎症状を訴える患者さんには、尿細胞診が必要と考えています。
『血尿診断ガイドライン2023』の編集責任者を担当していたこともあり、血尿で最も注意しなくてはならないのは尿路上皮がん(腎盂尿管がん、膀胱がん)です。膀胱炎かな、と思いつつ、肉眼的に血尿を認めた場合は、抗菌薬で良くなったからと言って安心せず、専門医の受診をお勧め致します。