転移のある腎がん患者さんについて
ここ数年で転移のある腎がんに対する薬物治療が進歩し、治癒する確率が上昇しています。しかしながら、どの治療を先行させるのか?大変重要な「人生の分かれ目」と考えています。手術→薬物療法か?薬物療法→手術か?ということです。
まだ確かなエビデンスは報告されていませんが、私自身の経験からすれば、薬物療法を先行させる方が安全と思います。近年、進歩したのは免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬を組み合わせた複合免疫療法です。この複合免疫療法の効果が予想外に良いために、転移巣や原発巣が縮小して手術がしやすくなってきたからです。
また、患者さんによっては、腎がんそのものが良くない物質(サイトカイン)を分泌して、腎臓周辺に癒着を来し、手術の難度を高くしている場合もあります。どのような治療がベストか?もう少し踏み込むと、どのような治療のシークエンス(手術と薬物療法の順番)がベストなのか?考える必要があると思います。
心配に思われている方は、是非ご相談ください。