前立腺肥大症の手術したが、頻尿が治らない
75歳男性、生来健康であったが、2年前に他院で前立腺肥大症手術を受けて、一端は改善したものの、夜間頻尿が改善しないということで受診されました。
前立腺について調べたところ、超音波検査ではきれいに前立腺部分がくり抜かれていて尿流動態検査で尿の勢いも良く、残尿測定でも残尿量は皆無で、手術は上手く行われている様子でした。排尿日誌をつけて頂いたところ、確かに250mlから300mlの1回排尿量で、本来、成人男性の膀胱容量である400-500mlは貯められない状況でした。
よくお話を伺ってみると、前医の泌尿器科に10年近く、前立腺肥大症で受診していて手術を勧められていたそうですが、手術でもかなり大きい前立腺であったとのことでした。そこで、膀胱内視鏡を行ったところ、やはり膀胱の容量が少なく、膀胱の粘膜が肉柱形成をしていたのです。つまり、長期間、前立腺肥大を放置してしまったため、膀胱の筋肉が発達してしまい、膀胱のコンプライアンス(膨らみやすさ)が減ってしまったことが原因であることがわかりました。さらに排尿日誌では夜間尿量が多いことから、夜間多尿の状況がお辛いということがわかってきました。
夜間尿量を減少させる脳下垂体ホルモン剤の投与を開始したところ、夜間はよくお休みになれるということで、この患者さんの苦痛を減らすことが出来ました。
頻尿の原因は多岐に渡りますので、総合的に診断する必要があります。
心配な場合はお気軽にご相談ください。