前立腺肥大症
男性では膀胱の下流に前立腺があるため、膀胱から続く尿道は前立腺の中を貫通し、陰茎部尿道に至ります。加齢とともに症状の有無に関わらず、前立腺は確実に肥大します。前立腺が肥大すると前立腺部尿道(前立腺の内部を貫通する尿道部分)が内側に圧迫されて尿道が狭くなって、排尿の勢いが低下します。結果として、排尿時の尿の勢いの低下、排尿時間の延長、残尿の増加が起きます。さらに残尿が増加することから、頻尿や尿意切迫感が生じます。前立腺肥大症の患者さんの50~75%に過活動膀胱が見られますが、この原因として、膀胱に無理に力を入れて排尿する習慣から、膀胱の壁が肥厚してしまい、蓄尿時に膀胱内圧が高くなり膀胱の壁が緊満するために膀胱虚血が生じます。また排尿した後には膀胱の血液の再還流がおきて、酸化ストレス亢進の状態を招くこととなり、こうした減少が過活動膀胱の原因と考えられているのです。したがって、前立腺肥大症は良性疾患とはいえ、膀胱への悪影響を考えると早めの治療が大切と考えています。
前立腺肥大症の程度を把握するためには、国際前立腺症状スコアで評価できます。尿の勢いや残尿の測定は尿流動態検査や超音波検査で評価可能です。前立腺の推定体積も超音波検査機器で測定可能です。

前立腺肥大症が疑われる患者様には、国際前立腺症状スコアをつけて頂き、症状の程度を把握して、治療方法を考えます。まずは薬物の内服から開始します。薬物療法をもってしても症状が軽快しない場合は手術療法を考慮することとなります。
当院では、前立腺肥大症に対して「切らない日帰り手術」が可能ですので、お気軽にご相談ください。手術を行うメリットはおくすりを継続して飲まないことにあります。